はじめに
令和7年赤平市議会第1回定例会の開会にあたり、赤平市教育委員会の所管行政の執行に関する方針について申し上げ、市議会並びに市民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
学校教育につきましては、赤平市学校教育推進計画に基づき、少子・高齢、グローバル化等の大きな変動が予想される社会に立ち向かい、未来を切り拓くたくましい子どもを育んでまいります。そのため、ふるさと赤平市に誇りと愛着を持ち、安心して学習できる環境の下、個性を尊重し主体的に取り組む教育を目指してまいります。
社会教育につきましては、令和7年度から始まる第7次赤平市社会教育中期計画の策定作業の最終作業を進めているところでありますが、各世代の人々が心豊かに日々の生活に充実感を覚え、健康に暮らすことができるよう、策定された目標に基づき、住民のニーズや社会ニーズに応じた社会教育の推進を図ってまいります。
将来に生きて働く学びの充実
1点目は、学びの充実についてであります。
社会の変化は、複雑で予測困難となってきており、子どもたちは、変化を前向きに受け止め、感性を働かせて自身の未来の姿を実現していくことが求められています。
そのため、学校教育において個別最適な学びと協働的な学びの実現に向けて授業改善や家庭学習習慣の定着が重要と考えております。
授業改善については、「主体的な学び」、「対話的な学び」、「深い学び」の視点に立った授業づくりを行うことが求められております。
そのためには、授業において基礎的・基本的な知識・技能の習得や一人一人の学習状況を子どもに伝えることが重要であります。
また、学習内容の定着については、家庭学習の役割が非常に大きく、家庭学習習慣を改善する必要があると考えます。
学校では、他者と一緒に問題の発見や解決に向う視点から研究授業を行い、学習意欲が向上するように働きかけるとともに、家庭においては、毎日の学習が定着するよう、学級通信や懇談会などで啓発してまいります。
教育委員会といたしましても、全国学力・学習状況調査の結果を分析して、家庭における学習習慣の改善を進めてまいります。
豊かな心と健やかな体の育成
1点目は、読書習慣の質の向上についてであります。
読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものであります。
また、人生における様々なトラブルを予防したり、課題や問題を解決に導くきっかけにもなります。
本市においては、小・中学校ともに読書の時間を日課表に位置付け、本に親しむ機会を確保しております。
教育委員会といたしましては、関係団体と連携を深めて、読書活動が活性化するよう努めてまいります。
2点目は、不登校及び不登校傾向の児童生徒への対応についてであります。
文部科学省の「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」においては、不安や悩みを相談できない子どもたちがいる可能性や、子どもたちの不安や悩みが従来とは異なる形で現れたり、一人で抱え込んだりする可能性なども考慮し、周囲の大人が子どもたちのSOSを受け止め、組織的対応を行い、外部の関係機関等とも積極的に連携して対処するなど、きめ細かな対応が求められています。
赤平市の小・中学校では、不登校傾向を早期にとらえるための定期的な校内会議を設け、子どもに寄り添った、きめ細かな対応に努めております。
教育委員会といたしましても、教育支援室のインターネット環境を整備して、タブレットでの教科書やドリルを用いた学びの保障を行い、保護者との相談や関係機関と連携を取りながら学校への復帰支援を行ってまいります。
3点目は、いじめの未然防止についてであります。
いじめとは、児童生徒に対して、他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものとしております。このため、いじめをなくすためには、全ての子どもたちに対していじめが絶対許されないことや、いじめの防止の必要性について強く働きかけていくことが必要となります。
本市においては、いじめ防止基本方針を策定しており、先生が子どもの異変を感じたり、アンケートや通報及び相談を受け付けた場合には、子どもに寄り添ったきめ細やかな指導を迅速に行い、関係機関との連携強化に努め、今後についてもいじめの早期解消を図ってまいります。
4点目は、望ましい生活リズム習慣の確立についてであります。
文部科学省は、子どもの生活習慣づくりについて、社会全体の問題として子どもたちの生活リズムの向上を図っていくため、「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進しています。
本市の状況としては、全国と比べて毎日の朝食を摂る子どもの割合が低く、睡眠時間も十分でないなど、基本的生活習慣が乱れている実態が散見されております。
学校では、生活リズムチェックシートに記載し、自分の生活を見直しながら家庭学習に取り組むよう指導しております。
今後においても、現在課題となっておりますゲームやスマートフォン等の長時間使用について、北海道教育委員会及びPTAと連携しながら、家庭における生活習慣や学習習慣の充実に向けた働きかけを継続してまいります。
学びを支える教育環境の充実
1点目は、授業以外の学習機会の設定と学習意欲の向上についてであります。
学力向上並びに学校以外での学習習慣の定着化を目的として、塾の講師による公設の学習塾を希望する中学生に対して開いております。
自ら学ぶ中学生を支援するとともに、家庭での学習に対する意欲や関心が高まるように工夫してまいります。
また、グローバル化の進展の中で、国際共通語である英語力の向上は子どもの将来にとって極めて重要であります。
本市では、英語検定に対する費用補助を行っており、検定への挑戦を契機に次の級へ挑戦する姿が増えるなど、一定の成果が認められることから、この支援を継続してまいります。
2点目は、ICT機器の効果的な活用についてであります。
GIGAスクールは第2期、いわゆる「NEXT GIGA」へ突入しております。
引き続き学校の授業においてAI学習ドリル等のICT機器の有効活用と授業研究に取り組んでまいります。
タブレット等によるICTを効果的に活用した授業や家庭学習を推進するために、令和8年度の機器の更新に向け、準備を進めてまいります。
3点目は、学校の働き方改革の推進についてであります。
学校教育は、学習指導のみならず、学校が抱える課題は、より複雑化・困難化している状況にあります。
このような中、文部科学省の教員勤務実態調査の集計において、看過できない教師の長時間勤務実態が明らかとなりました。
このため、子どもたちに対して効果的な教育活動を行うことができるようにすることを目的として、学校における働き方改革を進めております。
本市では、赤平市立学校業務改善計画に基づき、校務支援システムを導入して、教員間における児童生徒の個人ファイル共有や学校と関係機関との連絡、教職員の出退勤管理などに活用しております。
また、学校においては、月2回以上の定時退勤日の設定や長期休業期間中における学校閉庁日の設定を行っており、教員の超過勤務の縮減に結びつくよう、教員が本来担うべき業務に専念できる環境整備の一つとして取り組みを進めております。
教育委員会といたしましても少しでも早く効果が上がるよう、多種多様な課題に対応しなければならない学校教職員の負担軽減を図るため、学校と協議しながら実情に応じ、人的支援などの施策を講じてまいります。
信頼される学校づくりと地域連携の充実
1点目は、コミュニティ・スクールの推進についてであります。
コミュニティ・スクールは、学校と地域住民等が力を合わせて学校の運営に取り組むことが可能となる有効な仕組みであります。
コミュニティ・スクールでは、学校運営に地域の声を積極的に生かし、地域と一体となって特色ある学校づくりを進めていくことができます。
本市のコミュニティ・スクールは、代表者とともに知恵を出し合い、意見を反映させて、子どもたちの豊かな成長を支える組織となっております。
また、学校の成果と課題を明確にして的確に評価することにより、地域の声を積極的に生かし、地域と一体となった特色ある学校づくりを進めてまいります。
2点目は、部活動の地域展開への推進についてであります。
本市においては、少子化で部活動の維持が困難になる中、将来にわたり子どもたちがスポーツや文化芸術に継続して親しむことができる環境整備を目指しているところであります。
また、教員の部活動指導に係る負担にも配慮しながら土日の部活動の地域展開を具体化するために調査・検討を行っているところであります。
なお、本市だけで部活動の地域展開は難しいと判断されますので、広域での地域展開を目指すべく北海道や近隣市町と協議してまいります。
ともに学び合い豊かな心を育む社会教育の推進
1点目は、青少年教育についてであります。
次代を担う青少年が豊かな人間性を育み、自他ともにかけがえのない存在であることを認識するとともに、社会の一員として自覚し、自ら進んで社会参加ができる健全な社会人として成長するよう、学校・家庭・地域などが連携して青少年の健全育成を推進することが必要であります。
そのため、各種、青少年健全育成事業を実施するとともに、青少年リーダーの育成を目的に「ふるさと少年教室」を行ってまいります。
また、青少年センターでは、地域や学校、関係機関などと連携を図り、青少年の問題行動の未然防止や安全確保に努めてまいります。
次に、公民館活動についてであります。
東公民館及び交流センターみらいは市民の社会教育活動や集会の拠点として幅広い世代が安心して利用できる施設としての役割を果たしてまいります。
また、集う人と人とのつながりを大切にしながら、教育、文化に関する各種の事業を行うことにより、市民の教養の向上、健康の増進につなげてまいります。
次に、図書館と読書活動についてであります。
地域に密着した図書館づくりを目指し、利用者サービスの向上に努めてまいります。
そのため、他市町村の図書館や道立図書館との連携による図書の取り寄せ、市民の調べ物を支援するレファレンスサービスに努めながら、利用者のニーズに応えてまいります。
また、引き続き図書の充実を図るほか、子ども読書活動推進計画に基づき、子どもたちが読書に親しむことができる環境づくりに努めてまいります。
次に、芸術・文化活動、文化財保護についてであります。
心豊かで潤いのある地域社会を形成するためには、文化・芸術に接する機会の提供をより一層充実させることが重要であります。
そのため、文化協会をはじめとする文化団体の活動の支援に努めながら、協働・連携を図ってまいります。
また、個々人の文化活動につきましても、各講座の参加への周知・啓発とサークル活動への支援を行ってまいります。
文化財保護に関しましては、郷土の文化・歴史への関心を高め、理解と愛着を深めるため、文化財を活用し、郷土や開拓の歴史を学ぶ機会を提供していくとともに、教育的な活用を推進し、文化財保護意識の啓発・普及に努めてまいります。
炭鉱遺産ガイダンス施設につきましては、貴重な炭鉱遺産を紹介する拠点施設でありますことから、今後も炭鉱遺産の価値と魅力の発信に取り組んでまいります。
次に、体育・スポーツについてであります。
スポーツ活動は、心身ともに健康で充実した生活を送り、活力ある健全な社会の形成に大きな役割を担っており、誰もが気軽にスポーツに親しむことのできる環境の充実が求められております。
そのため、昨年度に改修いたしました総合体育館やその他の体育施設を市民の体力向上と健康増進のため欠かせない施設でありますことから、有効に活用してまいります。
また、北翔大学やスポーツ協会、スポーツ推進委員、各スポーツ団体等と連携・協力を図りながら、各種大会やスポーツ教室などを継続して開催するほか、指導者育成の支援を行うなど、スポーツ活動の推進に努めてまいります。
次に、地域学校協働本部についてであります。
地域学校協働本部につきましては、地域の団体等から登録された地域人材リストから講師等を学校へ派遣することにより学校支援活動を行ってまいります。
具体的には、夏・冬休み学習会での見守りや地元企業によるキャリア教育へのサポート、放課後子ども教室における体験活動などを通じて、子どもたちが心豊かに育まれていくように地域と学校双方向の連携・協働を推進してまいります。
むすび
以上、令和7年度の赤平市教育行政執行方針について申し上げました。
赤平市において今行うべきことは、児童・生徒の学習習慣や生活習慣など、子どもたちの健やかな成長を図るため、幼・保・小・中の連携が非常に重要であると考えております。
近年、スマートフォンやインターネットが身近な存在となり、幼少期から日常的に利用していることで依存症や昼夜逆転など、朝起きられず不登校となったり、登校しても先生の話を集中して聞くことができないなど、大きな課題となっており、保護者の協力を得ながら改善を図っていかなければならないと考えております。
また、近頃は闇バイトや薬物の乱用など、SNSを通じた犯罪が低年齢化をしており、非行防止、青少年健全育成にも注力していかなければなりません。
様々な課題等はございますが、改善に向けた第一歩は、子どもたちに学校の楽しさや授業を受ける大切さを実感できる教育を進める必要がある考えております。
今後におきましても、幼・保・小・中の連携及び保護者、地域、行政との連携を深めてまいります。
全ての市民が生涯を通じて主体的に学び続ける地域づくりを目指し、本市の教育・文化・スポーツの振興に努めてまいりますので、市議会をはじめ、市民の皆さまのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。