令和2年度教育行政執行方針(令和2年第1回定例会)

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教育行政執行方針を述べる高橋教育長の写真

はじめに

令和2年赤平市議会第1回定例会の開会にあたり、赤平市教育委員会の所管行政の執行に関する方針について申し上げ、市議会並びに市民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
幼稚園及び学校教育においては、改訂された幼稚園教育要領、学習指導要領が相次いで告示され、これらの趣旨を踏まえた教育活動を目指して、それぞれの段階で精力的に改善を進めているところです。
また、学習指導要領等では、これからの社会を生き抜くために求められる資質・能力の育成に向けて、学校と地域社会とが連携・協働してその実現を図ることが「社会に開かれた教育課程の実現」として提示されました。このしくみの一端を担う動きとして、コミュニティ・スクールによる対応を昨年度より始めたところです。
社会教育においては、人口減少や少子高齢化の進展により、市民ニーズが多様化する中、第6次赤平市社会教育中期計画を整備しつつ、市民一人一人が生涯にわたり、心豊かで生きがいのある生活を送るために必要な学習活動を奨励しているところです。
また、子どもたちの豊かな心と自主性や社会性、生きる力を育てる学習機会の充実と非行防止などの青少年対策を引き続き目指しております。
なお、本年度におきましては、「ひと・自然・産業が輝くまち 赤平を支える人」の育成を目指した教育大綱に基づき、教育行政を推進してまいります。
以下、学校教育、社会教育の順に令和2年度教育行政を推進する上での重点的な取組について申し上げます。

学校教育の推進

将来に生きて働く学びの充実

学びの充実

これからの時代を切り拓いていくために必要な資質・能力を子どもたちに育むため、各学校では、「主体的・対話的で深い学び」の授業の在り方を追究し、授業力を高めようとする積極的な姿勢が多く見られるようになってきました。
その姿が継続するよう道教委の指導主事による指導訪問等と連携して、引き続き各学校の研修を支援してまいります。
また、それらの取組がどの程度、効果を上げているかについては、4月の早い時期に実施する標準学力検査により成果の一端を推し測り、その結果の活用も早い段階から開始できるよう進めます。それらの流れを道教委が作成する学力向上ロードマップを参照しながら整理し、各学校と連携して学力向上に努めてまいります。
さらに、新たな施策として秋田県など学力の高い先進地域への教育視察を通して効果的な取組に直接触れ、各学校での研修活動の活性化を図るとともに、本市全体で結果に結びつく学力改善を進める気運を高めてまいります。
一方、学んだことを活用し、今求められている授業の姿に高めるためには、家庭学習の役割は非常に重要と考えております。学校での学びの復習が確実に実施されるよう、各学校の実態に応じて設定された家庭学習に関連する到達目標を軸に、家庭学習習慣の改善に向けた動きを一歩一歩進めてまいります。

特別支援教育

近年、困り感を抱える子どもたちは年々増加しており、一人一人の教育的ニーズに応える教育が求められております。
そのため学校においては、きめ細かな指導計画を作成して保護者や支援関係者との連携・協力を進めながら、特別支援教育の充実に努めております。
きめ細かな指導の一つの形態に通級指導教室があります。本市においては、赤間小学校に設置しておりますが、他の小学校についても通級指導が円滑に実施されるよう指導体制を継続してまいります。
また、通級指導教室の小学校・中学校の接続については、子どもたちのニーズと法令を踏まえながら中学校における設置に向けて検討してまいります。

幼稚園教育

改訂された幼稚園教育要領及び北海道幼児教育振興基本方針には、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」や「遊びの中で学びに向かう力を身に付けていくという原則」が示されており、幼児教育と小学校の円滑な接続には欠かせない内容となっておりますので、幼児教育の共通化について検討してまいります。
本年度も、園児一人一人の発達状況や興味・関心を十分理解し、学校教育との接続を意識した幼稚園教育の充実に努めてまいります。

豊かな心と健やかな体の育成

道徳教育

「考え、議論する道徳」の授業には、自己を見つめ、よりよく生きるために考えを深めるという大切な役割があります。これを通して子どもたちが身に付ける力は、多様な人々が生活する社会を生きていく上での基礎となるものです。したがって、道徳教育の充実のため、道徳科の授業改善を後押しすることが必要であると考えます。
道徳科が先行実施されてから間もないことから、各学校の道徳科におけるワークシートに記録された事例を交流して本市全体としての道徳科の授業改善を推進してまいります。

いじめの未然防止

赤平市いじめ防止基本方針に位置づけられているとおり、望ましい人間関係の維持・発展に関する各領域等の指導を充実させ、いじめの未然防止に繋げることがいじめ防止の基本と考えます。
思いやりや自己有用感、規範意識の高揚等を促す教育活動の充実に期待しており、各学校及び関係機関と連携を深めて指導の充実を図ってまいります。

望ましい生活習慣

子どもたちが健やかに成長していくためには、適切な運動、調和のとれた食事、十分な休養・睡眠が大切です。しかしながら、基本的生活習慣が乱れている実態が散見されることから、各学校では、生活リズムチェック等の取組が実施されております。道教委及びPTAと連携しながら、家庭における生活習慣の改善に向けた働きかけを継続してまいります。
また、体力向上に関連して各学校での一校一実践を支援してまいります。

学びを支える教育環境の充実

授業を支える支援体制

新しい時代に求められる資質・能力を子どもたちに育む授業では、子どもたちが主体的に授業に関わる姿勢が土台となるため、実態に応じたきめ細かな支援が必要であると考えます。
そのため支援員の配置は必要不可欠であり、人材の確保に努めながら支援員を配置してまいります。
また、小学校外国語等の授業の全面実施に備え、平成30年度より外国語指導助手を増員して2名体制としましたが、それを継続してまいります。さらに単年度措置ではありますが、道教委の小学校外国語等巡回指導教員研修事業の有効活用を図るとともに、学級担任等と外国語指導助手及び巡回指導教員が連携して、小学校外国語等の授業の充実に努めてまいります。

不登校傾向の児童生徒への対応

不登校傾向の児童生徒数が全国的に増加傾向にあります。要因は様々で複合的なものが多く、本市においても同様の傾向が見られます。
各学校では不登校傾向の段階的な解消に向けて具体的な対応を継続して実施しているところです。不登校傾向を早期にとらえ、市長部局と連携しながら、関係者の情報共有を定例化させて課題解決に向けて動き出すなど、改善に向けて進めてまいります。
また、適応指導教室の設置やスクールソーシャルワーカーの配置等、不登校傾向への対応策の拡充について検討してまいります。

児童生徒の学習意欲等への支援体制

3年目を迎える公設塾ですが、利用する児童生徒数の増加を目指し、保護者への働きかけをこれまで以上に工夫してまいります。
また、同じく3年目を迎える漢字検定等に対する費用補助については、この検定を契機に次の段階へ挑戦する姿が増えるなど、一定の成果が認められることからこの支援を継続してまいります。
なお、これらの施策が各学校の家庭学習の改善策を支える一助となるよう支援してまいります。

小学校社会化副読本

小学校新学習指導要領の全面実施に伴い、教科書が全面改訂され、3・4年生で使用する社会科副読本についても改訂が必要となっております。改訂作業を組織的に進め、本年度3学期からの使用開始を目指してまいります。

就学援助

就学援助制度は、経済的理由により就学が困難な児童生徒の保護者に対して必要な援助を行い、全ての児童生徒が義務教育を円滑に受けることができるように設けられている制度です。
生活保護基準見直しに伴う準要保護者に対する就学援助については、就学援助制度の趣旨を踏まえ、児童生徒に影響が及ぶことのないよう対応してまいります。
なお、人材育成・定住促進奨学金及び高等学校等通学費等支援については、きめ細かな情報提供を行い、支援を継続してまいります。

教員の働き方改革

子どもたちを取り巻く環境や課題が複雑化・多様化する中、学校に対する期待や役割はますます高まっており、結果として教職員の長時間勤務が顕在化しております。こうしたことから「赤平市立学校における業務改善計画」に基づき、本来担うべき業務に専念できる環境整備の一つとして校務支援システムの導入を目指してまいります。

信頼される学校づくりと地域連携の充実

コミュニティ・スクール

昨年度スタートしたコミュニティ・スクールが2年目を迎えます。社会に開かれた教育課程の実現に向けて、学校運営協議会を中心に学校と地域住民が、学校教育の目指す方向性を共有して、できることから学校を支援する取組の具体化を図ってまいります。

幼・小・中・高の各校種間の円滑な接続

小学校と中学校の児童生徒の様々な状況については、日常的に交流がなされ、中1ギャップ解消に向けてそれぞれの指導場面で効果的に生かされており、中学校と高等学校についても、入学時に情報交流が進められております。
また、幼児教育と小学校の情報交流についても重要な役割があり、小学校入学時の引継ぎを柱に進め、小1プロブレムの解消に向けたスタートカリキュラムや入学後の指導に生かされております。
このような引継ぎによる情報交流が円滑に進められるよう環境を整えてまいります。

小学校統合

赤平市立小・中学校適正配置計画に基づき、令和4年度統合小学校開校を目指して、関連する環境整備を組織的に進めております。
統合まで2年となることを踏まえ、教育課程の編成や学校教育目標等の策定など、統合に関わる諸課題への対応について協議を重ねてまいります。

学校給食

安心・安全な学校給食の提供につきましては、衛生管理の徹底や食物アレルギー対応指針に基づく運営等を継続してまいります。
さらに、地元生産農家からの減農薬栽培米など食材の寄贈や小学生の稲作体験学習への協力など、食育に関する支援を受けており、本年度も関係機関と連携を図りながら地産地消など学校給食への関心を高めてまいります。

社会教育の推進

学び合いで地域力を育む社会教育の推進

青少年教育

青少年期は、社会性を養い生きる力を育む大切な時期であり、次代を担う子どもたちが健やかに成長していくためには、学校・家庭・地域との連携が重要です。
各地区育成会で組織する赤平市青少年育成連絡協議会と連携を図りながら本年度においても、集団活動を通した仲間づくりと青少年リーダー育成などを目的とした「ふるさと少年教室」、子どもたちの企画により遊びを通した交流の場を作る「あかびら子どもまつり」、夏休み・冬休み中の体力向上や団体競技を通じて協調性を育む「夏季・冬季スポーツ大会」、日本の伝統遊びに触れ交流を図る「子どもかるた大会」、冬の野外における遊びの体験などによって交流を図る「子ども冬遊び事業」の実施を継続してまいります。
また、全国的に社会問題化されている青少年の非行、いじめ、不登校などにつきましても青少年教育の課題となっており、学校や児童福祉関係者及び警察との連携による赤平市青少年非行防止連絡会議などで、情報交換・協議を行い情報を共有し、児童生徒及び保護者には、引き続き「校外生活のきまり」で周知するほか、非行など問題が発生の際は、迅速な対応に努めてまいります。

公民館活動

東公民館及び交流センターみらいにつきましては、各種講座や教室・サークル活動などを通じて、学び合い・教え合い・交流を深める場として幅広い年齢層の方に利用されております。
今後も市民ニーズに沿った事業が継続できるよう市民団体並びに関係機関などと連携を図るとともに、引き続き生涯学習まちづくり出前講座を行い、生涯学習の推進に努めてまいります。

図書館と読書活動

市民に親しまれる機能的な図書館運営を目指し、本年度においても、毎月第4土曜日に読み聞かせなどを行う「子ども本の日」、幼児に絵本を渡す「ブックスタート事業」、除籍本を無償で提供する「古本フェスタ」、文京生活館・平岸コミュニティセンター・各小学校へ図書館の蔵書の一部を持ち運ぶ「移動図書館」、小・中学生を対象とする「読書感想文コンクール」、専門家を招いて行う「朗読とギターの響き」など、幅広い年齢層に対する事業を継続してまいります。
今後も市民の知的ニーズに応え、読書習慣の向上や学習活動などに繋がるよう、適切な図書館運営に努めてまいります。

芸術・文化活動、文化財保護

文化協会を中心とした各種サークルや同好会により、市民総合文化祭をはじめ、発表会や展示会・研修会など自主的な芸術・文化活動が行われており、豊かな心を醸成するとともにコミュニティ形成などにも活かされ生きがいにも繋がっているため、今後も団体等に対する支援を継続してまいります。
また、文化財保護に関しては、平成30年7月に炭鉱遺産の歴史的価値を広く紹介し、市民及び来訪者の炭鉱遺産に対する理解を深め、石炭産業によって栄えた本市の歴史を後世に伝えることを目的に炭鉱遺産ガイダンス施設が開設されたところです。また、昨年5月には、立坑やぐらなどの炭鉱遺産を構成文化財とする「炭鉄港」が文化庁の日本遺産に認定され、同年12月には、立坑やぐらなどが舞台となったアニメ映画「ぼくらの7日間戦争」が全国上映されたこともあり来館される方も増え、また、道外・海外からもお越しいただいているところです。
本年度は、立坑やぐら周辺をキャンドルで灯す「炭鉱(やま)の灯り」などの事業を継続し、北海道及び関係市町村、ツアー会社などと引き続き連携し、炭鉱遺産の魅力を発信してまいります。

体育・スポーツ

本年度においても、北翔大学との連携事業として、子どもたちの体力向上を目指す「こども体力測定会・走り方教室」、健康増進を図る「市民スマイルウォーキング」、子どもたちが元プロ野球選手からの指導を受け、野球の基礎を学び技術向上を図る「こども野球教室」、健康増進・体力向上を図る「軽スポーツ・ニュースポーツ大会」、子ども・大人を対象とした「水泳教室」、中学生を対象とした「バレーボール教室」を継続してまいります。
また、各スポーツ施設に関しましては、有効利用に資するよう適切な維持管理に努めてまいります。
今後も、市民の体力の向上及び健康増進などに繋がるよう北翔大学や体育協会、スポーツ推進委員、各スポーツ団体などと連携してまいります。
なお、平成24年度から「中学生以下の社会教育・体育施設の利用料無料化」を実施しておりますが、本年度も継続してまいります。

むすび

以上、令和2年度の赤平市教育行政執行方針について申し上げましたが、執行にあたり、教育行政事務の管理及び執行の状況に関する点検・評価に基づき、学校・家庭・地域・行政の一体となった取組を通じ、より一層開かれた教育行政を目指しながら、効果的に執行してまいりますので、市議会並びに市民の皆さまのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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