令和6年度教育行政執行方針(令和6年第1回定例会)

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はじめに

 令和6年赤平市議会第1回定例会の開会にあたり、赤平市教育委員会の所管行政の執行に関する方針について申し上げ、市議会並びに市民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 学校教育につきましては、赤平市が定める赤平市教育大綱を踏まえて策定した赤平市学校教育推進計画に基づき、本市における教育課題の解決と地域社会との連携の実現に向けて取り組み、ふるさと赤平市に誇りと愛着を持ち、地域づくりに主体的に取り組む人材を育成することを目指してまいります。

 社会教育につきましては、第6次赤平市社会教育中期計画に基づき、令和6年度においても、乳幼児・青少年・成人・高齢者の教育、芸術・文化・文化財・スポーツの振興と社会教育の基盤整備を図ってまいります。

 また、市民の主体的な学びや、地域における生涯学習活動を支援するとともに、市民の多様なニーズに応じた学習機会の提供や、学習成果等が広く活かされる機会の提供を通して、市民が生涯にわたり自主的な学習活動に取り組むことができ、その成果を適切に生かすことのできる生涯学習社会を目指してまいります。

 以下、学校教育、社会教育の順に教育行政を推進する上で、特に重点として設定した取組について申し上げます。

 

将来に生きて働く学びの充実

 1点目は、学びの充実についてです。

 急激に変化する社会を生き抜くために必要な資質・能力を子どもたちに育むためには、全ての子どもたちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びを実現する授業改善と家庭学習習慣の定着が非常に重要と考えております。

 授業改善については、道教委の指導主事による指導訪問において、子どもたちが見通しを持って学習し、分かったことを振り返る授業スタイルを学校で統一して確立するよう指導してまいります。

 また、学習内容の定着については、家庭学習の役割が非常に大きく、家庭学習習慣を改善する必要があると考えます。

 そのため、学校は、自主的な学習へ取り組ませる工夫や家庭学習を提出した子どもには、学習意欲が向上するように働きかけるとともに、家庭と連携して毎日の学習習慣の定着と時間の確保が進むよう、学級通信や懇談会等で啓発してまいります。

 教育委員会といたしましては、学校と連携しながら家庭における学習習慣の改善を進めたいと考えております。

 

 次に、ICT機器の効果的な活用についてです。

 未来を生きる子どもたちには、ICTを活用する資質・能力を育むことが必要となります。そのため授業においては、一斉指導や個人学習、グループ学習等の場面においてAI学習ドリルを効果的に活用した授業改善に取り組んでまいります。

 教育委員会といたしましては、タブレットによる授業改善や家庭学習の効果的な活用方法について、道教委の指導主事による指導訪問や教員の研修会参加奨励等により、各学校を指導してまいります。

 

 次に、特別支援教育・通級指導の充実についてです。

 本市では、困り感を抱える子どもたちが年々増加しており、子ども一人一人の教育的ニーズを把握しながら、適切な対応を図ることが特別支援教育や通級指導教室における役割として、ますます重要となっております。

 特別支援学級においては、自立や社会参加のための基本的な力を培うため、一人一人に応じた教科指導に加えて、困り感を克服するための指導を行っており、生活上や学習上の困難や制約を改善する適切な教育及び指導を通じて、児童生徒の主体的な取組を育みたいと考えております。

 通級指導教室に通っている子どもは、通常の学級に籍を置いているため、学校生活のほとんどは通常の学級で勉強しておりますが、必要に応じて通級指導教室で個に応じた学習をしております。

 通級指導教室に通っている子どもには、実態把握などを適切に行った上で特別の教育課程を編成して指導を行い、小学校と中学校が連携した指導体制を視野に入れて指導の工夫・充実に努めてまいります。

 

豊かな心と健やかな体の育成

 1点目は、読書習慣の質の向上についてです。

 読書にはさまざまな力を養う効果があり、国語だけでなく算数・数学の文章問題を数式にするなど、他の教科における学力向上に役立ちます。また、人生における様々なトラブルを予防したり、課題や問題を解決に導くきっかけにもなります。

 本市においては、小・中学校ともに読書の時間を日課表に位置付け、本に親しむ機会を確保しております。

 教育委員会といたしましては、関係団体と連携を深めて、読書活動が活性化するよう努めてまいります。

 

 次に、不登校及び不登校傾向の児童生徒への対応についてです。

 不登校とは、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により年間30日以上欠席した子どもを指し、不登校傾向とは、教室に入らなかったり、登校していても遅刻・早退が多かったり、内心では毎日、「行きたくない」と感じたりしている子どもです。

 複雑化する社会環境の中で、不登校・不登校傾向の子どもの人数が、全国的に増加傾向にあり、本市においても同様の傾向が見られます。

 そのため、小・中学校では不登校傾向を早期にとらえるための定期的な校内会議を設け、きめ細かな対応に努めております。

 教育委員会といたしましても、教育支援室において、教科書やドリルを用いた学びの保障や相談業務を行い、関係機関と連携を取りながら学校への復帰支援を行ってまいります。

 

 次に、いじめの未然防止についてです。

  いじめとは、児童生徒に対して、他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものとしております。

 本市においては、いじめ防止基本方針を策定しており、先生が子どもの異変を感じたり、アンケートや通報及び相談を受け付けた場合には、子どもに寄り添ったきめ細やかな指導を迅速に行い、関係機関との連携強化に努め、いじめの早期解消を図ってまいります。

 今後についても、望ましい人間関係の醸成やいじめの未然防止を組織的に進めることができるよう、小・中学校及び関係機関と連携を深め、指導の充実を図ってまいります。

 

 次に、望ましい生活リズム習慣の確立についてです。

 新しい時代を生きる子どもたちに必要な資質・能力を確実に育むためには、適切な運動、調和のとれた食事、十分な休養・睡眠を摂り、計画的に学習することが大切です。しかしながら、全国と比べて毎日の朝食を摂る子どもの割合が低い等、基本的生活習慣が乱れている実態が散見されております。学校では、生活リズムチェックシートに記載し、自分の生活を見直しながら家庭学習に取り組むよう指導しております。

 本市においては、ゲーム・スマートフォン等の長時間使用が課題となっており、道教委及びPTAと連携しながら、家庭における生活習慣や学習習慣の充実に向けた働きかけを継続してまいります。

 

学びを支える教育環境の充実

 1点目は、授業以外の学習機会の設定と学習意欲の向上についてです。

 本市では、希望する中学生に対して公設塾を開いております。授業は、数学・英語の2教科を開設し、自ら学ぶ中学生を支援するとともに、家庭での学習に対する意欲や関心が高まるように工夫してまいります。また、英語検定に対する費用補助については、検定への挑戦を契機に次の級へ挑戦する姿が増えるなど、一定の成果が認められることから、この支援を継続してまいります。

 さらに、子ども1人1台のタブレット端末の配置と学校の高速大容量ネットワーク環境を整備したことで、AI学習ドリルによる子どもたち一人ひとりにとって最適な学びと、協働的な学びを実現しており、教育の質を高めてまいります。

 

 次に、小中連携による9年間の効果的指導についてです。

 本市では、個別最適な学びと、協働的な学びを実現する授業スタイルや読書活動の時間の設定など、小・中学校での統一した教育活動を進めております。

 さらに、小・中学校で連携した教育活動を深化させるための小中連携会議を定期的に開催しております。会議においては、小・中学校教職員間での指導のあり方や互いに授業を見合うための連絡・調整など、適切な情報交流を行っており、9年間の教育課程及び指導方法に繋がるよう検討しております。

 教育委員会と学校が連携を深め、小・中学校の9年間を見通した学力向上に効果的な教育活動の発展のために努めてまいります。

 

 次に、学校の働き方改革の推進についてです。

 本市では、赤平市立学校業務改善計画に基づき、校務支援システムを活用しております。校務支援システムでは、教員間における児童生徒の個人ファイル共有や学校や関係機関との連絡、教職員の出退勤管理等に活用しております。

 また、学校においては、月2回以上の定時退勤日の設定や長期休業期間中における学校閉庁日の設定を行っており、教員の超過勤務の縮減に結びつくよう、教員が本来担うべき業務に専念できる環境整備の一つとして取り組みを進めております。

 

信頼される学校づくりと地域連携の充実

 1点目は、コミュニティ・スクールの推進についてです。

 コミュニティ・スクールは、学校と地域住民が力を合わせて学校の運営に取り組むことが可能となる地域とともにある学校への転換を図るための仕組みです。

 本市のコミュニティ・スクールは、全市の規模で、学校と保護者や地域の代表の皆さまがともに知恵を出し合い、意見を反映させることで、子どもたちの豊かな成長を支える組織となっております。

 小・中学校の成果と課題が明確に把握されることにより、各学校の教育活動を的確に評価できるようになり、地域の声を積極的に生かし、地域と一体となった特色ある学校づくりを進めてまいります。

 

 次に、部活動の地域移行への推進についてです。

 文部科学省は、学校の部活動について、適正な運営等に関する総合的なガイドラインを策定して、部活動を学校単位から地域単位への取組とするとの考えを提示しました。

 本市といたしましても、関係機関と連携を図りながら、土日の部活動の地域移行に向けて検討・推進をしてまいります。

社会教育の推進

ともに学び合い豊かな心を育む社会教育の推進

 1点目は、青少年教育についてです。

 青少年の健やかな成長を支え、豊かな人間性と生きる力を育むためには、感動したり、驚いたりしながら、実際の生活や社会・自然のあり方を学ぶことが重要であるため、様々な体験活動を引き続き実施してまいります。その中で集団活動を通じた仲間づくりと青少年リーダー育成を目的に「ふるさと少年教室」を行ってまいります。

 また、悩み事を相談できる体制づくりに努めるほか、学校や関係機関等との連携を深め、青少年センターによる登下校の見守りや、火まつりと神社祭典における合同補導を実施してまいります。

 

 次に、公民館活動についてです。

 東公民館及び交流センターみらいは地域住民の一番身近な学びの拠点として学習機会の提供に努めるとともに、より良い地域づくりの拠点としての役割を果たしてまいります。

 また、集う人と人とのつながりを大切にしながら地域住民間の絆を築き、地域コミュニティの形成を目指してまいります。

 今後も市民の皆様の教養の向上や健康の増進、生活文化の振興、文化活動の充実等につながるよう利用促進に努めてまいります。

 次に、図書館と読書活動についてです。

 図書館は、市民の読書活動の役割を担う拠点としてなくてはならない大切な施設でありますので、市民の皆様に親しまれる図書館の運営を目指してまいります。

 そのためには、読書は子どもの頃から始めることが必要であり、子どもの発達段階に応じて読書習慣を身に付けることが重要であることから、「赤平市子どもの読書活動推進計画」に基づき、家族みんなで好きな本を読んで読んだ本について話す「家読(うちどく)」、「ブックスタート事業」、「読み聞かせ」、「おたのしみ会」などにより子どもたちが読書に親しむことのできる環境づくりに取り組んでまいります。

 また、文京生活館や小学校へ図書館の蔵書の一部を持ち運ぶ「移動図書館」や読書週間事業として実施しております朗読とギター演奏を組み合わせた朗読会、除籍本を無償で提供する「古本フェスタ」など、子どもから大人まで幅広い年齢層に対する事業を行い、読書普及活動の推進に努めてまいります。

 

 次に、芸術・文化活動、文化財保護についてです。

 市民が潤いと豊かさに満ちた人生を送るためにも、文化・芸術が日常生活の中で身近な存在であることが大切です。

 このため、個々人の文化活動については各講座の参加への周知・啓発とサークル活動への支援を行うとともに、文化活動の中心的な役割を担っております、文化協会の市民総合文化祭などの活動につきましても支援をしてまいります。

 文化財保護に関しましては、郷土の歴史、文化、自然、風土を理解するうえで不可欠な文化遺産であり、市民共有の財産として保護するため、指定・登録に向けた取り組みを進めるとともに、教育的な活用を推進し、文化財保護意識の啓発・普及に努めてまいります。

 

 次に、体育・スポーツについてです。

 心身の健全な発達を促し、明るく活力ある地域社会を形成するうえで、スポーツの果たす役割は重要です。

  このため、市民が生涯にわたり、様々な機会や場所において、自主的に自身の適性や健康状態に応じてスポーツを行うことができるよう取り組んでまいります。

 今後も市民の体力の向上及び健康増進などにつながるよう、北翔大学やスポーツ協会、スポーツ推進委員、各スポーツ団体等と連携・協力のもと、スポーツに触れ合う機会の拡充に努めてまいります。

 また、市内唯一の体育館であり、中心的なスポーツ施設である総合体育館つきましては、多くの市民にご利用をいただいているところでありますが、今後も長期・安定的に使用していただくため、屋上防水や外壁塗装等の改修工事を行ってまいります。

 

 次に、地域学校協働本部についてです。

 今年度も学校からの要請に基づいて、地域人材による講師等を学校へ派遣することにより学校支援活動を充実してまいります。

 また、放課後子ども教室においても地域人材の活用の幅を広げ、新たな活動内容の充実を図りながら、子どもたちが心豊かで健やかに育まれていくよう活動を進めてまいります。

むすび

 以上、令和6年度の赤平市教育行政執行方針について申し上げました。

 近年、スマートフォンやインターネットによるトラブルや依存症などが大きな社会問題となっている等、子どもたちを取り巻く環境は、厳しさを増しております。私たちは、子どもたちを良い方向へ導くのが責務であり、児童・生徒が笑顔で通学し、学校では、学ぶことの楽しさを実感できる教育を進めてまいります。

 また、赤平市の教育は、明治27年(西暦1894年)百戸に寺子屋式教育が開始されてから、今年で130年を迎えます。先人のたゆまぬ努力によって築き上げられてきた教育を継承し、時代を担う子どもたちを育んでまいります。

 全ての市民が生涯を通じて主体的に学び続ける地域づくりを目指し、本市の教育・文化・スポーツの振興に努めてまいりますので、市議会をはじめ、市民の皆さまのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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