令和5年度教育行政執行方針(令和5年第2回定例会)

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教育行政執行方針を述べる高橋教育長の写真

はじめに

 令和5年赤平市議会第2回定例会の開会にあたり、赤平市教育委員会の所管行政の執行に関する方針について申し上げ、市議会並びに市民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 学校教育につきましては、中期的な展望に立って、教育施策を総合的かつ計画的に推進するための赤平市学校教育計画に基づき、本市における教育課題の解決と地域社会との連携の実現に向けて、教育の方針を示し、取り組んでまいります。

 社会教育につきましては、第6次赤平市社会教育中期計画に基づき、令和5年度においても、乳幼児、青少年、成人、高齢者の教育、芸術・文化、文化財、スポーツの振興と社会教育の基盤整備を図ってまいります。

 また、市民の多様な学習ニーズに応じた学習機会を提供し、学習成果や経験等が広く活かされる場を通して、市民一人一人の生きがいづくりに努めるとともに、市民の主体的な学びと生涯学習活動に対する支援を通して、持続可能な生涯学習社会の実現に努めてまいります。

 以下、学校教育、社会教育の順に教育行政を推進する上で、特に重点として設定した取組について申し上げます。

将来に生きて働く学びの充実

 1点目は、学びの充実についてです。

 これからの時代を切り拓いていくために必要な資質・能力を子供たちに育むためには、主体的・対話的で深い学びを視点とした授業改善と家庭学習習慣の定着が非常に重要と考えております。

 授業改善については、道教委の指導主事による指導訪問において、引き続き各学校の研修を指導してまいります。

 また、学習内容の定着については、家庭学習の役割が非常に大きく、全国学力・学習状況調査や標準学力検査の結果を向上させるためには、家庭学習習慣を改善する必要があると考えます。

 そのため、小学校、中学校ともに、学校での学びの復習が家庭学習での実行に移されている状況や、赤平市として設定した家庭学習の時間的な目安がどの程度達成できているかについて、教育委員会としても定期的な把握に努め、学校と家庭が連携して家庭学習習慣の改善を進めたいと考えております。 

 次に、ICT機器の効果的な活用についてです。

 子供たちが、これからの時代を生き抜くために必要な資質・能力を育むため、授業改善を優先して進めるとともに、AIドリルを導入したタブレットによる授業や家庭学習の効果的な活用について、道教委の指導主事による指導訪問や教員の研修会参加奨励等により、各学校を指導してまいります。 

 次に、特別支援教育・通級指導の充実についてです。

 本市では、平成27年度より通級指導が開始されていますが、困り感を抱える子供たちは年々増加しており、児童生徒一人一人の教育的ニーズに応えるための特別支援学級や通級指導教室の役割は、ますます重要になっています。

 特別支援学級では、子供の能力に応じて、特別の教育課程で学習し、健康な体づくりや基本的な生活習慣を身に付ける自立活動の授業を時間割に位置付けて行っております。

 通級指導教室では、児童生徒に合わせた個別の指導を行っており、通っている子供は通常の学級に籍を置いているため、学校生活のほとんどは通常の学級にいて、必要に応じて通級指導教室で学習しております。

 令和5年度についても、特別支援学級は小中学校で複数学級が設置され、通級指導教室は赤平小学校に設置されておりますが、指導体制の工夫・充実に努めてまいります。

豊かな心と健やかな体の育成

 1点目は、読書習慣の質の向上についてです。

 本市においては、各学校とも読書の時間を日課表に位置付け、本に親しむ機会を保障しています。良い本や好きな本との出会いが、学校以外でも読書に親しむことにつながることを期待しております。

 学習の基盤は国語にあるといわれますが、算数・数学においても文章問題を数式にする力など、言語活動の力を向上させるために効果的なのは、読書習慣の充実にあると考えております。関係団体と連携を深めて、読書活動が活性化するよう努めてまいります。 

 次に、不登校傾向の児童生徒への対応についてです。

 不登校傾向児童生徒の支援にあたっては、子供同士の良好な人間関係や子供と教員との信頼関係の構築により、すべての子供にとって安心感と充実感を送ることができる環境を提供し、継続させることが重要です。しかしながら、子供たちを取り巻く環境の影響で、不登校傾向が進行する人数が、全国的に増加傾向にあり、本市においても同様の傾向が見られます。

 そのため、各学校では不登校傾向を早期にとらえ、段階的な解消に向けてきめ細かな対応に努めています。教育委員会としても、不登校傾向への対応策として、令和4年度に設置した教育支援室を継続してまいります。

 教育支援室では、不登校の子供や不登校傾向にある子供の学校生活への復帰支援や学びの保障を目的に、子供が在籍する学校と連携を取りながら、個別相談や教科書・ドリルを用いた指導を行ってまいります。

 次に、いじめの未然防止についてです。

 赤平市いじめ防止基本方針に位置付けられているとおり、望ましい人間関係の醸成に関する教育活動を充実させ、いじめアンケート等による早期発見、いじめの未然防止につなげることが、その基本と考えています。

 そのことを踏まえ、いじめを認知する状況になった場合には、子供に寄り添ったきめ細やかな指導を迅速に行い、いじめの解決に向けて組織的な対応を進めてまいります。

 今後についても、望ましい人間関係の醸成等、いじめの未然防止を組織的に進めることができるよう、各学校及び関係機関と連携を深め、指導の充実を図ってまいります。 

 次に、望ましい生活リズム習慣の確立についてです。

 子供たちが健やかに成長していくためには、適切な運動、調和の取れた食事、十分な休養・睡眠が大切です。しかしながら、基本的生活習慣が乱れいる実態が散見されることから、各学校では、生活リズムチェック等の取組により、生活習慣の課題の発見に努めています。

 本市においては、スマートフォン等の長時間使用が課題となっており、道教委及びPTAと連携しながら、家庭における生活習慣の改善に向けた働きかけを継続してまいります。

学びを支える教育環境の充実

 1点目は、授業以外の学習機会の設定と学習意欲の向上についてです。

 6年目を迎える英語検定に対する費用補助については、検定への挑戦を契機に次の級へ挑戦する姿が増える等、一定の成果が認められることから、この支援を継続してまいります。

 また、同じく6年目を迎える公設塾ですが、自ら学ぶ中学生を支援するため、数学・英語の2教科を開設し、家庭での学習に対する意欲や関心が高まるように工夫してまいります。

 なお、本年度より漢字検定の替わりにAI漢字ドリルを導入することで、漢字検定を受検していた子供だけでなく、本市の子供全員が学習することができるようになります。今後は、AI漢字ドリルを導入した成果を検証し、より効果的な指導方法を研究してまいります。 

 次に、小中連携による9年間の効果的指導についてです。

 本市では、主体的・対話的で深い学びを視点とした授業スタイルや読書活動の時間の設定など、小中学校での統一した教育活動を進めております。さらに、小中学校の9年間を見通した教育活動を充実させるためには、それぞれの学校における教育活動の成果の積み重ねを確実に進める中で、小中学校で連携した教育活動を深化させるための教職員の交流が必要であります。

 各学校の学校教育目標で示されている目指す姿の評価を繰り返しながら、学校と連携を深め、道教委の指導主事の派遣を通して、小中学校の9年間を見通した効果的な教育活動の展開に近づくための指導を進めてまいります。

 次に、校務支援システムの活用による学校の働き方改革の推進についてです。

 本市では、教職員の長時間勤務への改善策の一つとして、赤平市立学校における業務改善計画に基づき、校務支援システムを活用しております。

 学校内における児童生徒の個人ファイル共有、学校間や関係機関との連絡、教職員の出退勤管理等に活用している校務支援システムが、教員の超過勤務の縮減に早く結びつくよう、教え合う体制づくり及び外部講師による研修を整え、教員が本来担うべき業務に専念できる環境整備の一つとして、有効活用を進めてまいります。

信頼される学校づくりと地域連携の充実

 1点目は、コミュニティ・スクールの推進についてです。

 本市のコミュニティ・スクールは、全市の規模で、学校と保護者や地域の代表の皆さまがともに知恵を出し合い、意見を反映させることで、子供たちの豊かな成長を支える仕組みとなっております。

 小学校1校、中学校1校となったことで、コミュニティ・スクールにおいて、各学校の成果と課題がより明確に把握されるようになりました。各学校の教育活動を評価することで地域の声を積極的に生かし、地域と一体となって特色ある学校づくりを進めてまいります。 

 次に、部活動の地域移行への推進についてです。

 文部科学省は、部活動の在り方に関する総合的なガイドラインを策定して、部活動を学校単位から地域単位の取組とするとの考えを提示しました。本市といたしましても、望ましい部活動の地域移行について、ガイドラインを基に関係機関と連携を図りながら、調査・研究を進めてまいります。

社会教育の推進

ともに学び合い豊かな心を育む社会教育の推進

 1点目は、青少年教育についてです。

 青少年が豊かな人間性を育み、心身ともに穏やかに成長させるために青少年健全育成事業を実施してまいります。その中で、集団活動を通じた仲間づくりと青少年リーダー育成を目的のために実施しております「ふるさと少年教室」を引き続き行ってまいります。

 また、青少年を取り巻く社会・生活環境が大きく変化していることから、子供たちを非行やいじめ、不登校、児童虐待等のさまざまな問題から守るため、青少年センターが行っております登下校時のパトロールを継続していくとともに、学校や警察等の関係機関との情報共有と連携を密にして、問題が発生した際に迅速な対応ができるように努めてまいります。 

 次に、公民館活動についてです。

 東公民館及び交流センターみらいにつきましては、各種講座や教室、サークル活動などを通じて、学びあい、教えあい、交流を深める場として、幅広い年齢層の方々に利用されております。

 今後も市民相互の交流や文化活動の充実につながるよう利用促進に努め、市民団体並びに関係機関等と連携を図りながら、引き続き、生涯学習の推進に努めてまいります。 

 次に、図書館と読書活動についてです。

 市民に親しまれる図書館を目指し、令和5年度においても、幼児に絵本を渡す「ブックスタート事業」、家族みんなで好きな本を読んで読んだ本について話す「家読(うちどく)」、除籍本を無償で提供する「古本フェスタ」、文京生活館や小学校へ図書館の蔵書の一部を持ち運ぶ「移動図書館」等、幅広い年齢層に対する事業を継続してまいります。

 また、広報の図書館だよりに毎月のおすすめ図書を掲載し、ホームページにも新着図書や貸出しと予約のランキングなどを掲載しながら、図書館の蔵書に係る情報提供を行ってまいります。

 今後も市民のための図書館づくりを目指し、利用者サービスに努めてまいります。 

 次に、芸術・文化活動、文化財保護についてです。

 文化協会をはじめとする文化団体の活動の支援に努めながら、連携を図ってまいります。

 また、文化協会を中心とした各種サークルや同好会により、毎年、市民総合文化祭をはじめ、発表会や展示会、研修会など、自主的な芸術・文化活動が行われておりますことから、これからも発表機会の確保と鑑賞及び体験できる事業の支援を行ってまいります。

 芸術・文化鑑賞機会の充実につきましては、今年度、音楽鑑賞会を実施して芸術・文化に触れてもらう機会を設けることにより、芸術・文化に対する関心の拡充につなげてまいります。

文化財保護に関しましては、文化財は、歴史や文化等の正しい理解のために欠くことのできないものでありますので、引き続き歴史資料の収集保存に努め、文化財を後世に伝えていくために保護し、地域の郷土史を学習する機会の提供に努めてまいります。 

 次に、体育・スポーツについてです。

 市民の皆さまがスポーツを通して健康で豊かなライフスタイルを築く生涯スポーツ社会の実現を目指すため、健康づくり、体力づくりをはじめ、年齢、体力、技術に応じた多様なスポーツや、レクリエーション活動を支援してまいります。

 また、スポーツ活動は、市民の皆さまが心身ともに健康で楽しく充実した生活を送るために大きな役割を担っており、生涯にわたって親しまれることから、市民の皆さまが気軽に楽しめて参加できる体力づくりやスポーツの各種大会等を行ってまいります。

 各スポーツ施設につきましては、安全で快適な利用環境を整えるため、施設の適切な維持管理に取り組んでまいります。

 今後も市民の体力の向上及び健康増進等につながるよう、北翔大学やスポーツ協会、スポーツ推進委員、各スポーツ団体等との連携・協力により、スポーツに触れ合う機会の拡充に努めてまいります。 

 次に、地域学校協働本部についてです。

 地域学校協働本部につきましては、社会教育委員が構成メンバーとなって活動を行っているところであります。

主な活動としましては、学校の要請に基づく地域人材による講師派遣など、学校支援活動や赤平小学校の施設内で行われております放課後子供教室において、地域人材の活用等により、走り方教室や軽スポーツ体験、読み聞かせ、歴史学習、卓球教室などを実施しているところであります。

 今後も地域学校協働本部を中心に学校と地域をつなぎ、連携を図りながら活動を行うことにより、子供たちが心豊かで穏やかに育まれていくよう、活動を行ってまいります。

むすび

 以上、令和5年度の赤平市教育行政執行方針を申し述べました。

 令和2年度から4年度まで、本市の学校教育・社会教育を取り巻く状況は、新型コロナウイルス感染症対策のため、学校における様々な教育活動の制限や社会教育施設の利用制限を余儀なくされてきましたが、今年度からは通常時にもどりつつあると認識しております。

 今後も市長部局と連携を図りながら、少子化・人口減少対策などの様々な施策を実施し、また、公教育としての水準を維持・向上させるとともに、地域住民による生涯学習活動を通して社会的なつながりを増す良き地域づくりの好循環を期待し、本市の教育振興のため、一層の充実に努めてまいりますので、議会をはじめ、市民の皆さまのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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